• 「訪問美容師に興味があるけれど、資格が必要なのか分からない」
  • 「今の美容師・理容師の仕事から、訪問美容へ転身できるのだろうか」

高齢化が進む中、自宅や施設に出向いて理美容サービスを提供する訪問美容師のニーズは年々高まっています。しかし、実際に何から始めればいいのか分からず、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、訪問美容師になるために必要な資格の有無、任意で取得できる民間資格、開業までの具体的な流れと必要資金の目安、そして現場で直面しやすい課題まで、これから訪問美容師を目指す方に向けてまとめました。

訪問美容師になるには?特別な資格は必要か

結論から言うと、訪問美容師になるために特別な公的資格は必要ありません。
美容師または理容師の国家資格を持っていれば、追加の資格取得なしで訪問美容師として働く・開業することができます。

これは、訪問美容が「美容師・理容師免許の範囲内で行う理美容行為を、店舗ではなく利用者様のご自宅や施設で提供する」というサービス形態であるためです。

免許そのものは通常の美容室・理容室と同じものが必要ですが、それ以上の特別な国家資格や許可は求められていません。

ただし、実際の訪問美容の現場では、高齢者や身体が不自由な方と接する機会が多いため、次章で紹介する民間資格や、介護に関する基礎知識を身につけておくと、より安心して業務にあたることができます。

訪問美容師の民間資格2種(あると差別化になる)

必須ではありませんが、訪問美容師としての専門性を示すために取得する方が多い民間資格が2つあります。

1. 訪問福祉理美容師

一般社団法人日本訪問福祉理美容協会=JVBWA認定

美容師・理容師の国家資格保有者等を対象に、協会が主催する講義を受講することで取得できます。京都・東京・神戸・大阪など複数の会場で定期的に開催されています。

受講料は公式サイトに明記されていないため、詳細は協会への問い合わせが必要です。

2. 福祉理美容士

NPO法人日本理美容福祉協会認定

理容師・美容師資格保有者を対象に、自宅学習と2日間の実技講習で取得できます。
講習では、寝たきりの方へのカット技法や、寝たまま行う洗髪技法など、訪問美容ならではの技術を学びます。受講料は27,000円(税込)で、任意の資格認定カード(3,000円)も用意されています。

いずれの資格も、利用者様やご家族、施設スタッフへの説明資料や名刺に記載することで、専門性への信頼につながるという声があります。

訪問美容師として開業するまでの5ステップ

訪問美容師として独立・開業する場合、大まかに以下の流れで進めます。

  1. 開業地域を決める
    どのエリアで、どのくらいの利用者様を対象にするか検討します。
  2. 保健所への申請手続きを行う
    理美容業を営むための届出・確認が必要です(自治体により手続きが異なるため、
    事前に管轄の保健所へ確認することをおすすめします)。
  3. 税務署へ開業届を提出する(個人事業主として開業する場合)
  4. 訪問美容の知識・技術を習得する
    前章で紹介した民間資格の講習を活用するのも一つの方法です。
  5. 機材を揃え、営業活動を始める
    移動用の車両、訪問先で使う理美容機材、洗髪関連の道具などを準備します。

すでに美容室・理容室に勤務している方が、副業や将来的な独立を見据えて民間資格の取得だけ先に済ませておくケースも見られます。

開業に必要な資金の目安

訪問美容師の開業資金は、店舗を持つ美容室・理容室に比べて大幅に抑えられるのが特徴です。

店舗を構える美容室の開業費用が1,000万円前後といわれるのに対し、訪問美容は家賃などの固定費がかからないため、必要最低限の道具を揃えるだけであれば20万円程度からのスタートも可能とされています。

一方で、営業用の車両や本格的な機材まで揃える場合は、100万円を超えるケースもあります。何を優先して揃えるかによって金額は大きく変わるため、まずは最低限の道具で始め、必要に応じて徐々に設備投資していく方法も検討できます。

※開業資金は個人の状況や地域によって変動します。上記はあくまで目安として参考にしてください。

訪問美容師の仕事で直面しやすい課題

訪問美容師として働き始めると、店舗での美容業務とは異なる、訪問ならではの課題に直面することがあります。

洗髪・洗身にまつわる負担

訪問先の浴室が使えず、居室のベッド上で洗髪を行う必要があるケースは少なくありません。お湯の準備や排水、後片付けに想像以上の時間がかかり、身体的な負担も大きくなりがちです。

こうした看護・介護現場での洗髪の基本的な考え方は、「洗髪の看護技術|目的・観察項目・根拠から訪問看護での注意点まで
で詳しく解説しています。

機器導入や経費にまつわる悩み

すでに事業を運営されている訪問美容師・訪問理美容事業者の方であれば、洗髪・洗身の負担を軽減する機器の導入を、経費や補助金の活用と合わせて検討されるケースもあります。「訪問美容師・訪問理美容事業者が使える補助金・助成金まとめ」もあわせてご覧ください。

こうした課題は、経験を積む中で少しずつ工夫やノウハウが蓄積されていく部分でもあります。開業前・転職検討の段階から知っておくことで、心構えができるはずです。

まとめ

訪問美容師になるために特別な公的資格は不要で、美容師・理容師免許があれば開業・就業が可能です。「訪問福祉理美容師」「福祉理美容士」といった民間資格を取得すれば、専門性のアピールにもつながります。

開業資金は店舗型の美容室に比べて抑えられる一方、開業後は洗髪・洗身をはじめ訪問ならではの実務課題に直面することもあります。この記事が、訪問美容師という働き方を検討する際の一助になれば幸いです。

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