車が入れない訪問先では、運搬も支援の一部になる
路地の先まで浴槽を担いで運ぶ場面では、玄関に着くまでに仕事があります。浴槽の部品や用具を持ち、角を曲がり、段差を越え、車へ戻って次の荷物を運ぶ。駐車場所が遠ければ、その往復も予定に含めて考える必要があります。
雨で足元がぬれる日や、階段の途中で持ち替える場所がない経路では、同じ荷物でも運び方を見直したいところです。狭い通路で近隣の人とすれ違う場合は、通行を妨げない段取りも必要になります。駐車場所と利用条件は事前に確認します。
| 負担を見る場面 | 事業所で共有したいこと |
|---|---|
| 車から玄関まで | 距離だけでなく、段差・曲がり角・往復の回数 |
| 搬入から撤収まで | 準備、洗浄、片付けを含む所要時間 |
| スタッフの身体 | 持ちにくさ、無理な姿勢、痛みや疲労の申告 |
厚生労働省の腰痛予防対策指針は、重量物の運搬や作業姿勢への対策を示しています。「運べた」という結果だけで受け入れを決めず、運搬と腰の負担を考えるポイントも使って、管理者とスタッフで条件をそろえましょう。
受ける前に、車から室内までを下見する

下見では、実際に使う機材の寸法や取り扱い条件と、経路を照らし合わせます。通路の幅だけでなく、浴槽の部品を持って曲がれるか、階段の踊り場で向きを変えられるか、途中で荷物を置けるかまで見ます。駐車場所から玄関までの距離、段数、手すり、足元の状態も記録しましょう。
室内では、浴槽の設置場所と介助する人の立ち位置、給水場所、排水先、電源を確認します。家族が普段使う通路や、緊急時に人が出入りする動線も確保できるか相談します。給排水の確認ポイントは、訪問前の聞き取りにも使えます。
家族の協力は、荷物を運んでもらう前提にせず、通路の物を移す、入室方法を共有するといった範囲から確認します。協力できない日も想定し、本人・家族の同意を得て必要な情報を記録してください。住環境の相談には、狭い部屋での入浴介助を考えるページや二階の寝室での清潔ケアをケアマネから家族に共有できます。
続けるなら、段取りと中止の基準を決める
| 段取り | あらかじめ決めること |
|---|---|
| 搬入前 | 経路の確認、荷物の順番、声をかける担当 |
| 搬入・撤収 | 分担、荷物の仮置き場所、通行への配慮 |
| 条件が変わった日 | 作業を止める場面、管理者への連絡方法 |
下見の内容を担当者の記憶だけに残さず、次に訪問するスタッフも読める形にします。必要な用具を搬入順にまとめ、忘れ物による往復を減らす一方、荷物をまとめすぎて持ちにくくならないかも確認します。運搬を急ぐことで予定に合わせる組み方は見直しましょう。
「雨で足元を確保できない」「経路に物が置かれて通れない」「スタッフが痛みを訴えている」など、当日止まって相談する場面を事業所内で決めます。中止や変更を誰が判断し、誰が本人・家族やケアマネに連絡するかも共有します。所要時間は搬出と片付けまで記録し、次の訪問予定に反映してください。
継続の判断は、本人の希望と支える条件を並べて行う

湯船につかる時間を楽しみにしている本人の希望は、継続を考える大切な情報です。同時に、スタッフが無理な運搬を繰り返す状態を、希望だけで引き受け続けることも避けたいところです。本人の状態と希望、必要な頻度、経路の条件、担当体制を並べて、管理者とケアマネで検討します。
段取りを変えれば続けられるのか、訪問の組み方を見直す必要があるのか、別のサービスや清潔ケアを組み合わせるのかを分けて相談します。判断を保留する場合にも、誰が何を確認し、いつ返答するかを決めましょう。
継続が難しいと伝える際は、難しい経路や作業を具体的に説明し、本人が求めるケアと代わりの選択肢を担当ケアマネに引き継ぎます。次に誰がいつ訪問し、何を行うかまで共有できると、清潔ケアの予定をつなげやすくなります。
全身入浴が難しい日にも、できるケアを相談する
| 相談する選択肢 | 確認すること |
|---|---|
| 清拭 | 本人が希望する部位、姿勢、負担 |
| 部分浴 | 洗髪や手足など、行う範囲と方法 |
| 洗身用具の使用 | 体調・皮膚の状態、用具の使用条件 |
当日の体調などで全身入浴が難しい場合は、利用者の希望と担当の医療職の判断を前提に、清拭や部分浴などを相談します。厚生労働省の運営基準に関する通知にも、全身入浴が困難な場合に、本人の希望による清拭や部分浴を行う考え方が示されています。
「入浴をしない」と決めた後も、どこを洗いたいか、今日はどの姿勢なら負担が少ないかを確認します。洗身用具も体調にかかわらず使えるわけではありません。実施できる範囲を医療職と相談し、難しい場合は次のケアの予定を共有してください。
スイトルボディが役立つ場面と、置き換えられないこと

スイトルボディは介護用洗身用具です。座った姿勢でも使え、浴槽を運び込む方法が難しい場面や、入浴が難しい日に洗身を検討する選択肢になります。ただし、湯船につかる入浴の代わりにはなりません。訪問入浴が担う価値を認めたうえで、使える場面を確認してください。
重量は水を含まず5.5kg、本体は横480×縦230×高さ290mmです。ホースは1.25m、電源コードは2.2mで、交流100Vのコンセント、給水する場所、汚水を捨てる場所が訪問先に必要です。水平で安定した設置場所も必要なため、狭い経路や階段の負担がなくなるとは言えません。

約1リットルのお湯で予洗い・洗身・すすぎまでできますが、体型や体の大きさで異なり、指の間など洗いきれない箇所もあります。温水モードは38〜45℃で、使用前に必ず水温を確認します。介護者1名で洗身できますが、姿勢の介助には別の人が必要な場合があります。
専用ソープのみを使い、洗身が完了したら汚水タンクを排水し、1日の使用後にはホースのお手入れを行います。消毒機能はありません。複数人に同じシャワーヘッドを使う場合は、医療用消毒液などで洗浄してから使います。
皮膚に傷口や腫れなどがある場合は使わず、医師の指示がない場合は重篤な症状のある方に使いません。皮膚疾患・感染症がある方は医師の指導に従います。取扱説明書と使い方で使用条件を確認してください。
人工呼吸器・気管切開・胃ろうがある方の使用実績と条件、デモ機や貸出は個別の確認が必要です。訪問先の条件を添えて資料を請求する際に、相談したい内容を知らせてください。
報酬とケアプランを確認し、次の担当につなぐ
| 相談先 | 持ち寄る内容 |
|---|---|
| 事業所内 | 下見の記録、運搬の負担、継続に必要な条件 |
| 保険者・担当ケアマネ | サービス内容、人員基準、報酬、ケアプランの扱い |
| 製品の相談窓口 | 設置環境、使用条件、運用と手入れ |
スイトルボディを使うことが、訪問入浴の人員基準や報酬の代わりになるとは判断できません。清拭・部分浴への変更や別の方法を組み合わせる場合も、保険者や担当ケアマネに確認します。本人・家族への説明と記録の方法も共有しましょう。
まず事業所内で困っている経路と作業を書き出し、ケアマネと次の支援を相談してください。機器を検討する場合は事業者向け案内を確認し、補助金の確認先には対象となるかを問い合わせます。適用を前提に導入を決めず、運用条件を相談するための資料請求から具体的な確認を進めましょう。



